ごえもん41参戦記
|
寒い・・・ 寒すぎる・・・ サハラから日本に帰ってきた感想ではない。
この日は、4月としては異常とも思えるほど寒かった。
岸壁に向かうと、朝早くにもかかわらず、旗を振って温かいお出迎えをうけた。
よし、やったろう!と気持ちが高ぶる。フェリーを降りると、会場までが長かった。
2,3qなんだろうが、寒さで疲れてしまった。w
いい準備運動になればいいのに、体が温まる前に冷え切ってしまった。
結構厳しい関門時間はあるが、なんとか完走したい。ペースは、6分を切っていくことが求められる。
アップダウンのきついコースだったが、なんとか前の御老人に喰らいついていこうと思った。
マラソン大会で感じる事の一つは、歳の功の凄さですね。
淡々と自分のペースで走り続ける。周りのランナーのペースに左右される事がない。
この老人からも、そのような雰囲気が漂っていた。ついていければ、大丈夫だ。
遅れることなく関門を通過、ほっとした。しかし、もう体が動かない・・・
仮装の服や頭に降ったみぞれが凍りつき始めていた。もう体温に溶かすだけの熱量がないのだろう。
体は、芯から冷えはじめていた。非常にやばい事態だった。
それでもゴールを目指して頑張ろうと、必死で足を動かす。ご老人は、どんどん遠くなっていく。
見える範囲を人が走っているというだけで、なぜか勇気がわいてくる。
道端に車が止まっている、女性が低体温で倒れたようだ。熱中症で倒れる大会は、何度かあった。
低体温で倒れた人を見たのは、この大会が初めてだ。
俺も倒れそうだ、そんな事を思い始めると、足回りが急に落ちてしまった。
もうご老人は見えなくなった。一人旅には慣れているが、寒々としたコースと気温に、心細くなる。
もう帰りたい、そう思った時にゴールが近い事が判った。
制限時間をオーバーした為に、完走証は貰えなかったが、それどころではない。
わかめ汁を頂くと、温かさと塩分が心地よく体の中をめぐっていった。
マグロのかぶと焼きもあるらしいが、これ以上この寒さの中に身をさらしているのは危険だ。
一刻でも早く帰宅しようと、港に向かった。すでに大勢のランナーで混雑しており、乗船するまで長い。
地獄のような待ち時間が、とても恨めしかった。
島民の方の温かさと、天候の寒さが対照的な大会だった。
|
|