気象データからヴェロンさんの旅を検証する


  ここでは、台風12号や日仏の気象の違いが、ヴェロンさんの旅行に
 どのような影響を与える可能性があったかを検証したいと思います。

  日本の猛暑がヴェロンさんの持病に悪影響を与えたのでは?という方や
 台風の最中に泣虫山を登山したのは自殺行為という方もいました。

  下の各種気象データから、どのような事が判るのでしょうか?

 結論:日仏での気象の違いは、湿度の高さだけであり、気温は変化グラフも似ていた。
 27日に来日した際も、気温の変化は少なく、気温での影響は少ないと思われる。
 フランスの夏は日本と同じくらいの気温ですが、降水量が極端に少ない。
 湿度の影響は、良く判りません。かなり暑く感じるとは思います。

 台風12号の影響は、28日19時から29日8時までの夜間に集中していた。
 観光を予定していたであろう28日18時までと29日10時すぎには、
 雨も降らず、穏やかな風の吹く、絶好の旅行日和だったと思われる。

 台風の影響は、ほとんどなかったと考えていいと思います。

 また大谷川の水位については、神橋付近に観測点がありました。

 関係各所に確認したところ、次のような回答がありました。

 大谷川の水位については、東照宮付近にある神橋地点で水位の観測を行っており、
 7月の平均水位(H25~29の5ヶ年平均)、
 平成30年7月28日、29日の最高水位は以下のとおりです。


 ■ 7月平均(H25~29の5ヶ年):0.43m
 ■ 平成30年7月28日の最高水位:0.9m
 ■ 
平成30年7月29日の最高水位:0.9m

 当時、台風第12号の影響により、流域平均雨量202mmと雨は降っていましたが、
 年度当初の少雨の影響で中禅寺湖の水位が低かったため、中禅寺湖に水を貯め、
 中禅寺ダムからの放流量は0.7m3/sと例年通りの放流をしておりました。

  そのため、観光のため放流量を増やしたということはありません。

 平均水位に比べて28日、29日の水位が高い理由については、中禅寺ダムの放流ではなく、
 断続的に降った雨により支川からの流入が多いことが理由と考えられます。



  まず、日仏の気象の違いについて、データを比較してみましょう!
 観測地は、日光に一番近い今市とヴェロンさんの居住地フランスのポワティエです。
 2018年の月平均最高気温・最低気温・月降水量の3つを比較します。「赤枠:今市」

  気温変化のグラフも似たような曲線を描き、差も小さいので影響は少ない気がします。
 降水量は、圧倒的に日本の方が高くなり、湿度の影響は大きいかもしれません。

 (注)湿度の影響は、専門医の意見が必要でしょう。

気象データ比較 日光に近い観測地の今市とヴェロンさんの住んでいるポワティエ

  次に台風12号の影響です。
 ヴェロンさんの行方不明になった7月29日に、西日本を縦断しました。
 果たして日光や関東では、降水量、風速など、どのような影響があったのでしょうか?

台風の進路図

  来日した7月27日の成田は、降水量として記録されるような雨は降っていませんでした。
 日光に向かう7月28日も朝方にまとまって雨が降ったという感じですね。
 気温も良く、両日ともに過ごしやすい日だったと思います。

  風速の参考として、気象庁風力階級表をご覧ください。
 両日ともに一日中、風が吹いていた感じですね。

  しかし、アクセスに影響を与えるようなレベルではなく、何の問題もなかったと思います。

成田の1時間ごとの気象データ 2018年7月27日と28日
気象庁風力階級

  7月28日の日光周辺の気象データです。
 日光東照宮付近は、今市のデータの方が参考になると思います。
 全体として18時ごろから雨が降りはじめ、21時過ぎに強くなった感じですね。

  奥日光では終日が風が吹き、今市ではそよ風程度だった事が判ります。
 東武日光駅到着が14時頃とされていますので、気温が少し高めなことを除けば、
 絶好の観光日和だったのではないでしょうか?

2018年7月28日の1時間ごとの気象データ 観測地:奥日光と今市

  行方不明になった7月29日の気象データです。
 ホテル出発が10時ごろとされています。雨もあがり、そよ風が吹く、絶好の観光日和です。

  台風は、29日1時ごろは浜松辺りでしょうか?
 データで見ると、最接近した28日18:00頃から雨が降りはじめ、21-22時頃にピークを迎え、
 翌29日の8時ごろまでは若干の影響が残ったのかな?という感じに思えます。

 
2018年7月29日の1時間ごとの気象データ 観測地:奥日光と今市

  大谷川の増水を見てみましょう。普段の三倍の水位があったと言われています。
 川の増水は、当日の雨量もそうですが、その前に降った雨量にも影響を受けます。
 果たして日光の雨量はどうだったのでしょうか?

  21日から27日まで雨は降っておりませんでした。
 28日18:00-29日9:00までの15時間で、186.0+90.5=276.5mmの雨が降った事になります。
 それまでほとんど雨が降っていないので、山の保水力は高いと思われます。

  公式記録を教えていただきました。
 (平成24年から平成29年の7月の平均水位 0.43m 平成30年7月28日・29日の水位 0.9m

 記録は、大谷川神橋での観測値になります。やはり、普段よりも水位は増していたようです。

 参考として、華厳の滝の流水量は普段通りで、水位の上昇は降雨の影響のみだそうです。

2018年7月の1日ごとの気象データ 観測地:奥日光
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